FP1級学科試験 金融資産運用分野(オプション取引)


皆さん、こんにちは

YoutubeでFP1級学科試験対策を始めました。ご存知の通りFP1級の学科試験の基礎は、範囲が広いうえに、各分野の専門家でもすぐには回答出来ない奇問、難問が多いですね。今回はその中でも、実務経験を積んだり、自分で売買することがあまりない(外務員登録している方は売買禁止ルールがある)「オプション取引」を取り上げました。

 


目次

  1. 「オプション取引」とは
  2. 原資産価格とオプション損益
  3. 価格(プレミアム)の構成
  4. 出題傾向(プレミアムの動き)
  5. オプション取引の種類
  6. 用語説明
  7. その他のデリバティブ取引

1.「オプション取引」とは

 ・ガソリンを入れにガソリンスタンドに行きました。価格が1L150円だったので「高いなあ」と思ったら、その店では「ガソリンを1L130円で買える割引券(購入後4週間有効)」を1枚10円で売っていたので50枚買い、20枚使って20Lのガソリンを買いました。割引券代を引いても200円お得になりました。

 ・翌週またガソリンが無くなっていたので、同じスタンドに行ったら価格が1L160円になってましたが、先週買った割引券をまた20枚使って20Lガソリンを買いました。今度は400円お得になりました。

 結末A

 3週間後(有効期間の最終日)、またスタンドに行きました。なんと価格が1L130円になってました。残った割引券は使っても意味がないので100円が無駄になりました。(私は合計で500円お得になりました。)

 結末B

 3週間後(有効期間の最終日)、ガソリンを入れる必要がなかったのですが、価格が1L180円になってたので、その日にガソリンを入れる友達に割引券を1枚40円で売って400円手に入れました。(私は合計で1,000円お得になりました。友達は割引券を使って10L買い、100円お得になってます。)

 

この「割引券」が「買う権利=コール」とイメージして下さい。上の場合だと、買った人は有効期間中に1L140円以上だとコールを行使することで利益が出て、打ったお店は損になります。逆に1L140円以下だと買った人は損をして、打った店は利益となります。私側が「コールの買建」、スタンド側が「コールの売建」となります。

 

また、このガソリンスタンドの経営者Aさんが、ガソリン在庫の価格下落を心配している時に、隣町にある他のガソリンスタンドの経営者Bさんに「そんなに心配するなら、1L当たり20円を私に払うなら、あなたのガソリン在庫をあなたが売りたい時に1L130円で買ってあげるよ」と言われたので、その話に乗ることにしました。Bさんはガソリン価格が下がらないと思ってます。これが「売る権利=プット」のイメージです。Aさんが「プットの買建」、Bさんが「プットの売建」です。

 

 


2.原資産価格とオプション損益について

 ・動画をご覧ください。(開始8分後~)

 ・動画ではそのほかに日経225オプション取引をテキストに仕組み、用語の説明をしています。


3.価格(プレミアム)の構成

 プレミアムの決定は、「(本質的価値+時間的価値)×ボラティリティ」とイメージして下さい。

 

 ・本質的価値とは、コールであればその権利行使価格が原資産の価格を下回っている時のその差額で、プットであればその権利行使価格が原資産の価格を上回っている場合の差額のことをいいます。

  例)原資産が100円の時、権利行使価格が90円のコールの本質的価値は10円

 ・時間的価値とは、清算日まで日数が長いと大きい、少ないと小さい。

  例)清算日が明日のオプションはほぼ時間的価値が0ですが、1か月の例えば日経224オプションは数百ポイントだったりします。

 ・ボラティリティとは、原資産の価格を歴史的にみて算出するヒストリカルボラティリティとオプション価格から算出するインプライドボラティリティの2種類がありますが、FP試験で出てくるのは殆どインプライドボラティリティです。このインプライドボラティリティを指数にして売買しているのがVIX(ヴィックス)、日経VIとなります。インプライドボラティリティは「先行きが見えない不安」の大きさを表すものとイメージして下さい。

   例)トランプさんの大統領選挙の開票が終わって、トランプさんの大統領が確定した瞬間に今まで大きかったボラティリティが急速に小さくなった。


4.出題傾向

 ボラティリティ、時間的価値、本質的価値の関係を聞いてくる問題が多いです。

 例)他の条件が一緒だった場合、ボラティリティが増大するとプット・コールともに価格はどうなりますか?

   他の条件が一緒だった場合、時間が経過しするとプット・コールの価格はどうなりますか?

 

 絶対に覚えるのは、他の条件が一緒だった場合、ボラティリティが大きくなるとプットもコールも上がって、ボラティリティが小さくなるとプットもコールも下がります。


5.オプション取引の種類

 ・コール買建(かいたて)

 ・コール売埋(うりうめ)

 ・コール売建(うりたて)

 ・コール買埋(かいうめ)

 ・プット買建

 ・プット売埋

 ・プット売建

 ・プット買埋

 ・コールもプットも清算する

 ・現引き、現渡し(原資産によって出来るものと出来ないものあり)

 ・ヨーロピアンタイプ 清算日にしか権利行使できない

 ・アメリカンタイプ いつでも権利行使できる


6.用語説明

・コール 買う権利

・プット 売る権利

・プレミアム オプションの価格

・権利行使価格 権利が行使できる価格

・レバレッジ効果 少ない金額で大きく利益を上げること

・ポジション 持ち高、状態

・オーバーナイト ポジションを持ったまま夜を越すこと

・デイトトレード 日中で売買を終えること

・時間的価値 オプション価格に含まれる、清算日に近づくほど少なくなる

・損切り 損を承知でポジションを解消すること

・寄り 市場が開く時間

・引け 市場が閉じる時間

・買建(かいたて) オプションを買付取引から始めること

・売建(うりたて) オプションを売却取引から始めること

・現引き 信用取引等で必要な費用を払って信用買していたものを引き取り清算すること

・現渡し 信用取引等で信用売していたものを現物を渡して清算すること

・取引清算日 オプションの清算をする日

・アットザマネー オプションの行使価格と原資産の価格が同じである状態

・インザマネー  原資産の価格がオプションの本質的価値のある状態

・アウトオブザマネー 原資産の価格がオプションの本質的価値のない状態

・ボラティリティ(変動率)

 ①ヒストリカルボラティリティ 過去の値動きからその変動幅を計算したもの

 ②インプライドボラティリティ オプションから算出したその変動幅を計算したもの

 


7.他のデリバティブ

 他に過去に出題されたものでは、先物取引、スワップ取引、金利オプション等がありますが、最近の投資信託や仕組債ではカバードコールを宣伝しているものもあるので、まずはオプション取引を理解して、他のデリバティブはオプションに紐付けして覚えたら如何でしょうか?(問題を作成している先生方がデリバティブの実務家である可能性は低いので、基本的な事で良いと思います。私がもし作るとしたら実務家かトレーダーにしか解けない問題を作りますが)